キミの心に届くまで
「するわけないよ」
大好きだもん。
郁都しか見えてないんだから。
好きな人に触れられるんなら、絶対に後悔なんかしない。
「んっ……」
ソファーに押し倒されたあと、強引に唇を奪われて熱い吐息が漏れた。
郁都は見かけによらずゆっくりゆっくり、ジワジワ時間をかけて愛してくれて。
重なり合う肌、とめどなく押し寄せる快感の波にただ身を任せた。
幸せを感じれば感じるほど、涙がどんどん溢れて来て。
優しくキスされるたびに、暗闇の中で静かに涙を流した。
無造作にセットされた茶色い髪も、右耳に光るピアスも……。
鋭く尖ったその視線も、整った顔立ちも全部全部。
思い出の中に閉じ込めておくから。