キミの心に届くまで


「約束ね!」



ベッドに腰かけた翼が、あたしに向かって小指を差し出す。



あどけない笑顔が可愛くて、少しだけ心が温かくなった。



「あー、パパとママだ」



病室のドアがスーッと開いたかと思うと、お父さんとお母さんが入って来た。



お母さんはの目はさらに真っ赤になっていて、お父さんはどんより疲れ切っている様子。



「陽良……あんた」



お母さんはあたしを見るなり血相を変えた。



ツカツカ目の前までやって来ると、大きく手を振り上げて。



ーーパシン



乾いた音が辺りに響いたかと思うと、頬に痛みが走った。


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