キミの心に届くまで


何が起こったのかわからなくて、放心状態のまま動けなかった。


だけど、確かに感じる頬の痛み。


ジンジンして、そこだけやけに熱い気がする。



「どれだけ心配したと思ってるの!!」



「え……」



お母さんは両手であたしの肩を掴むと、責め立てるように揺さぶる。


目に涙を浮かべて、まるで子どもを心配する親のようだ。


叩かれたことよりも、お母さんの目に浮かんでいる涙の方が信じられなかった。


だって……お母さんは、あたしのことなんてどうでもいいと思っているはずで。


興味なんてないはずだから。



「一晩中、どれだけ探し回ったと思ってるの!!」



え……?



「お父さんも……お母さんも、寝ないで探し回ったのよ!」



そう言ったお母さんの目から、涙がこぼれ落ちた。


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