キミの心に届くまで


信じられなかった。



「女の子が夜に出歩くなんて、何かあったらどうするの?電話しても出ないし、どこで何やってたの!」



お母さんは泣きながら怒っていた。



なんで……?


あたしの心配なんてしてるの。


どうして急にって。


あたしの頭にはそんなことしかなかった。



「だけど……無事で良かった。何もなくて……本当に良かった……っ」



顔を歪めて泣くお母さん。


罪悪感がひしひし芽生えた。



「今まで本当にすまなかった。陽良には……寂しい思いばかりさせてしまった。翼が生まれてから遊んでやった記憶もなくて……ワガママも言えなくさせてしまっていたことに昨日気付いたよ」



いつも寡黙なお父さんが、そんなことを言うなんて信じられなかった。


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