キミの心に届くまで


「お母さんも……ずっと翼ばっかりで……かまってあげた記憶が、小学校3年生までしかなくて。思春期もあったはずなのに……っ、もっと、ワガママも言いたかったでしょ?ごめんね……っ」



「……っ」



涙を拭うお母さんを見て、悔しそうに顔をしかめるお父さんを見て……。


喉の奥が焼けるように熱い。


視界がボヤけて、ゆらゆら揺れる。



「昨日……陽良が泣いてたのを見て初めて気付いたんだ。こんなんじゃ、親失格だな」



ガマン出来なくて、涙が頬に流れた。



違うって、そんなことないよって。


言いたいのに言葉が詰まる。



「しっかりしてるように見えたって……っ、陽良もまだまだ子どもだったのにね……っ」



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