キミの心に届くまで
止めようとしてみても、涙は止まらなかった。
お父さんもお母さんも、ちゃんとあたしのことを想ってくれてたんだって今になって気付くなんて。
遅いよね。
ごめんなさい。
「ごめんね……陽良。ごめんね……っ」
お母さんの華奢な腕が、あたしの体を包み込んだ。
大好きだったお母さんの匂いがする。
小さい頃、この腕の中で寝ていたことを思い出した。
「お母さん……ごめんなさいっ。心配させて……ごめんなさいっ」
お母さんの背中に腕を回す。
あれほど大きかったお母さんの背中は、細くて今にも折れてしまいそうなほどだった。