キミの心に届くまで


ひとしきり泣き終えた後、どちらからともなく体を離した。


高校生にもなってお母さんと抱き合うなんて、なんだか照れくさくて恥ずかしい。


翼やお父さんに笑われて、お母さんとあたしも目を見合わせて笑った。



そのあと翼の病室でこれからのことを話した。



「振り回してごめんね……。お父さんとお母さん、もう一度やり直してみようと思うの」



お母さんは膝の上で寝てしまった翼の頭を撫でながら、あたしに向かって優しく微笑む。



「うん」



あたしもお母さんにニッコリ笑って見せた。



「お父さんと話し合って、お母さんの田舎で家を買おうかってことになって。自然も多いし、翼にとってもいい環境だと思うの。陽良にはちょっとつまらないかもしれないけど、今まで目をかけてあげられなかった分一緒にいたいから……ついて来てくれる?」



お母さんの瞳が不安そうに揺れている。


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