キミの心に届くまで
スマホをちらちら気にはしていたけど、郁都からの連絡はない。
卑怯だけど、このまま会わずに何も告げずに行こう。
すずには今日の内に電話で全部話した。
寂しいと言って泣いていたけど、最後には笑って電話を切った。
ごめんね。
本当にありがとう。
一生の別れなわけじゃないし、これからも会えるんだから悲しむことなんてない。
それから数日は高校の編入手続きやら、引っ越し準備やらでバタバタして学校へ行く間もなく慌ただしく過ぎて行く日々。
教室には生徒の少ない放課後に荷物を取りに行って、先生にも挨拶をした。
先生は後日みんなに挨拶をしに来いと言ってくれたけど、そんなことをしたらきっと泣いちゃうから断ったんだ。
そしてあっという間に引っ越しの日はやって来て、お父さんの運転する車でお母さんの田舎へ引っ越した。