キミの心に届くまで


「今日、川に行こうよ!暖かくなって来たし、水が気持ち良いから」



「いいね〜!陽良ちゃん、初めてじゃない?すっごい綺麗なスポットがあるの」



朝、教室へ着くなり数人の女子に囲まれた。


勢いに圧倒され、少しだけ身を引く。


あたしも行っていいのかな……?


戸惑っていると。



「お前ら、陽良が困ってんだろ?」



野球部で坊主頭のケンちゃんが助けに来てくれた。



「ケンは黙っててよねっ!うちらは陽良ちゃんと仲良くなりたいんだから」



ケンちゃんは白い歯を見せてニッと笑うと、視線をスーッとあたしに向けた。



「こいつら、仲良くなりたいらしいけど。どうする?」



「うん、あたしもなりたい」



「じゃあ決定ね!」


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