キミの心に届くまで


ケンちゃんは母方のイトコで、両親共々おばあちゃんの家に住んでいる。


数えるほどしか会ったことはなかったけど、田舎に引っ越して来たあたしの強い味方になってくれた。



クラスに馴染めているのも、ケンちゃんの存在が大きいかもしれない。



心の中で感謝しつつ席に着いた。



なんの不満もなくてただただ幸せなはずなのに、授業中はいつもぼんやりして身が入らない。



あっという間に気付けば放課後。



みんな自転車通学なので、ワイワイ騒ぐ声を聞きながら自転車置き場へ向かう。



「うちらについて来てね!」



この中でも活発なユノちゃんが先頭を切って自転車にまたがった。


そして勢い良くペダルを漕ぎ出すと、他の子もみんな次々と自転車に乗って後に続く。


みんなが出たのを見計らって、あたしも続いた。


< 327 / 374 >

この作品をシェア

pagetop