キミの心に届くまで
ケンちゃんは母方のイトコで、両親共々おばあちゃんの家に住んでいる。
数えるほどしか会ったことはなかったけど、田舎に引っ越して来たあたしの強い味方になってくれた。
クラスに馴染めているのも、ケンちゃんの存在が大きいかもしれない。
心の中で感謝しつつ席に着いた。
なんの不満もなくてただただ幸せなはずなのに、授業中はいつもぼんやりして身が入らない。
あっという間に気付けば放課後。
みんな自転車通学なので、ワイワイ騒ぐ声を聞きながら自転車置き場へ向かう。
「うちらについて来てね!」
この中でも活発なユノちゃんが先頭を切って自転車にまたがった。
そして勢い良くペダルを漕ぎ出すと、他の子もみんな次々と自転車に乗って後に続く。
みんなが出たのを見計らって、あたしも続いた。