キミの心に届くまで


あぜ道がデコボコしてて、ハンドルを取られる。



肌の間をすり抜ける生温い風に、どこかから聞こえる蝉の声。


壮大に広がっている緑に色付く葉っぱ達。


静かに流れる川のせせらぎが、夏がやって来たことを教えてくれているみたい。



気持ち良いなぁ、自然って。


何もないけど、壮大なこの景色を見ているとなぜか癒される。


自分の悩みがちっぽけに見えて、バカバカしくさえ思えて来る。



だけど埋まらない何かがあって。


それを埋める術を知ってるのはあたしだけ。



思い出にするにはまだまだ時間が必要で、思い出すたびに胸が押し潰されそうになる。



スカートのポケットに忍ばせたスペアキーを握り締めては、届くことのない想いを募らせて行くだけ。


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