キミの心に届くまで
山道に続くふもとまで来ると、自転車をとめて今度は細い急な道を歩いた。
足場が悪くて何度か滑りそうになったけど、ユノちゃんが支えてくれて転ばずに済んだ。
「こっちだよ!」
「わぁ!」
体力がないあたしは、そこに辿り着いた時にはヘロヘロで。
だけど目の前に広がる綺麗な川を見たら、疲れなんて一気に吹き飛んだ。
たくさんの木々の間から太陽の光が射し込んで、水が反射してキラキラ輝いている。
「綺麗……」
「でしょ?」
ユノちゃんが得意気な顔で鼻をすすった。
なんだかそれが可愛くて、思わずクスッと笑みがこぼれる。
「うん」
澄んだ水が心の中を洗い流してくれているようだった。