キミの心に届くまで
どれくらいこうしていたんだろう。
空はまだ明るいけど、随分時間が経ったような気がする。
スマホは家に置いて来たから、時間を確認する手段がない。
でもまぁ、いいよね。
今日はおばあちゃんの家で夕飯だから、それまでに帰れば心配はされないはず。
そう思ってもう一度目を閉じる。
葉っぱの擦れる音や蝉の声にはもう慣れっこで、今では心地良さを感じる。
あれほど煩わしいと思っていたのに不思議なもんだ。
「陽良!」
その時、突然誰かがあたしを呼ぶ声がした。