キミの心に届くまで


どれくらいこうしていたんだろう。


空はまだ明るいけど、随分時間が経ったような気がする。


スマホは家に置いて来たから、時間を確認する手段がない。



でもまぁ、いいよね。


今日はおばあちゃんの家で夕飯だから、それまでに帰れば心配はされないはず。



そう思ってもう一度目を閉じる。


葉っぱの擦れる音や蝉の声にはもう慣れっこで、今では心地良さを感じる。


あれほど煩わしいと思っていたのに不思議なもんだ。




「陽良!」



その時、突然誰かがあたしを呼ぶ声がした。


< 338 / 374 >

この作品をシェア

pagetop