キミの心に届くまで


すると、気のせいなのか一瞬だけ誰かの手に触れた感触がした。



気のせいかな……?


懐かしい感触だった気がする。


もうろうとする意識の中、どこかに向かって手を伸ばし続けた。



誰か……助けてっ。


お願いっ。



そう願いを込めて祈る。


ーーその時。



誰かがあたしの腕を掴んだ。


力強く引き寄せられて、そのまま手が腰に回される。



苦しかったけど、確かに触れている誰かに無我夢中でしがみ付いた。


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