キミの心に届くまで


意識を失いそうになったちょうどその時。


水面から引き上げられる感覚がした。



「はぁ……っはぁ……」



「おい……大丈夫か……っはぁ」



「う、うん……っ」



息が限界だったせいで、目の前が霞んではっきりしない。


だけど、すぐそばにいる人が誰だかすぐにわかってしまった。



た、助かった。


もうダメかと思ったのに。


良かった、良かったよぉ。


本当に怖かったせいもあって、ホッとしたら一気に気が抜けた。



「ここに掴まってろ」



「う、うん……」



流れが緩やかなところだから、流される心配はもうない。


だけど、深くて足が着かないから言われるまま岩にしがみ付いた。


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