キミの心に届くまで
「よっと」
腕の力だけでなんとか這い上がったその人は、今度はあたしに向かって手を差し出した。
「掴まれ」
「うん……っ」
必死に手を伸ばすと、大きくてゴツゴツした手が触れた。
ドキッと高鳴る鼓動。
あたしの腕をガッシリ掴むと、今度は両手を差し出して来た。
「もっと手伸ばせ」
「…………」
「早くしろよ」
そう言われて、両手を伸ばす。
至近距離で目を合わせることは出来ず、ずっと顔を伏せていた。
両脇を抱えられながらなんとか引き上げてもらい、力が抜けてその場に2人で倒れ込む。
「た、助かった……」