キミの心に届くまで
「いない、けど……」
目の前にはあたしの大好きな郁都が、拗ねたような顔をしながら覆い被さっている。
鋭く射抜くような視線に低く不機嫌な声。
怒っているのに、濡れた体から出る色気が凄まじくてクラクラめまいがして来た。
「ケンって奴、お前のなに?ずいぶん仲良さそうだったけど」
「え……イトコ、だけど」
新しい彼氏って……ケンちゃんのことを勘違いしてたの?
「はぁ?イトコかよ……あいつ、騙しやがって」
「え?」
なんのこと?
よく、わからない。
「いや、こっちの話」
「……そっか」