キミの心に届くまで
頬に感じる熱が、ドキドキうるさい鼓動が……郁都を好きだと言っている。
もう、ウソをつけない。
ゴマかしきれないよ。
ゆっくり顔を近付けて来る郁都から目が離せない。
「ダ、ダメだよ……」
キスされそうになり、思わず胸を手で押し返した。
ほだされて流されそうになっていた自分に、ダメだと言い聞かせる。
このままだと……また郁都を傷付けてしまう。
「なんで?」
「なんでって……それは」
言葉に詰まって思わず目をそらす。
ひしひし感じる突き刺さる視線が、あたしを責め立てているように感じた。
「俺のこと、嫌いになった……?」
「…………」
なんで、そんなことを言うの?
必死に思い出さないようにしてたのに。
忘れようとしてたのに。
嫌いになれたら、どんなに楽か。