キミの心に届くまで
「とにかく落ち着け」
「え?ムリだよ……だって」
今まであたしはそうだとばかり思い込んで来たのに。
「落ち着けって。じゃねーと、ここで襲うから」
「ええっ!?お、おそ……」
反射的に身を引いて郁都から離れた。
こんな時になんてことを言うんだ、この人は。
「冗談だろ、落ち着けよ」
「え……?」
冗談……?
こんな時に?
「いちいちマジに受け取るなって。まぁ、襲われたいんだったら遠慮しねーけど」
「そ、そんなわけないでしょ……!」