キミの心に届くまで
「じゃあ俺は帰って昼寝でもするか。邪魔者は退散するよ。またな、陽良!あ、お前も晩飯はうちに食いに来いよ」
ケンちゃんはそう言い残すと、満足したような顔で颯爽と帰って行った。
「お前さ」
ケンちゃんの姿が見えなくなったのを見計らって、郁都が耳元に唇を寄せた。
ドキッと心臓が大きく跳ねる。
「他の男に隙見せすぎ」
「……っ」
甘く囁かれたかと思うと、反対側の手で顎をくいっと持ち上げられた。
重なる視線。
なんでだろう。
郁都の瞳に、すごく熱がこもっているように見える。
ドキドキが止まらないよ。
「ダ、ダメだよ……っ」
「はぁ?何回拒めば気が済むんだよ」
「だってまだ……何も聞いてないから」
何かを勘違いしてるんだったら、早くそれを教えて欲しい。