キミの心に届くまで
勝手に決め付けて、逃げて来たのはまぎれもなくあたしだ。
「言っとくけど、何とも思ってねー奴の弁当食ったりしねーし。感情的になって怒ったりもしねー。番号教えたり、アドレスだって。普通、そこまでされたら気付くだろ?」
お手上げだというように、郁都は自分の髪をわしゃわしゃ掻き回した。
その顔はほんのり赤くて、胸の奥から温かいものが込み上げる。
「わ、わからないよ……っ。だって、あたしはずっと……っ」
小町さんが好きなんだとばかり……思ってたんだから。
「けど……これでわかっただろ?つーか、んな恥ずいこと言ったの初めてなんだからなっ」
「う、うん……っ。嬉しい」
始めから郁都に確認していれば、誤解はすぐにとけてたのにね。
ずいぶん遠回りをしてしまった。