キミの心に届くまで


でもね、わかってる。


翼は生まれた時から病気なんだから、お父さんやお母さんから特別扱いされても仕方ないってことを。


健康に生まれて何不自由なく生きてるあたしは、それだけで幸せなんだってことを。



『陽良は本当にいい子ね』



『お父さんとお母さん、陽良がいい子にしててくれるとすっごく嬉しいわ』



『陽良はお勉強も出来るし、マジメでとってもいい子。お留守番もひとりで出来るわよね?』



『お父さんとお母さんがいなくても、陽良なら大丈夫よね?』



『しっかりしてるもの、陽良のことはなーんにも心配してないわ』



いつかお母さんが言っていた言葉を思い出して、ジワジワと涙が浮かんで来る。


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