キミの心に届くまで


1時間目の授業中、前の席に座るすずの後ろ姿に目をやった時、机の下でコソコソしながらスマホを操作しているのが見えた。



1学期の時はこんなことなんてなかったから、相手は柏木君だって考えなくてもわかる。



それを見てズキッと痛む胸。


もどかしくて、張り裂けそうに疼いてる。


さっきもデートの場所を聞いて来たし、うまくいってるってことだよね……?



はぁ……。


心の中でため息を吐きつつ黒板に目をやろうとした時。



「キャー!片桐君だ〜!」



「わー、本当だ!」



「カッコ良い〜!」



授業中なのにも関わらず、教室の中が騒がしくなった。


女子達はみんな開いていた教室のドアや窓から、廊下を通り過ぎていくその人を見て頬をピンク色に染めている。


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