キミの心に届くまで
「あー、同じクラスだったら目の保養になったのに〜!」
「5組だなんて、端と端で遠すぎるよね」
女子が口々にそんなことを言って目を輝かせているのを、あたしはぼんやりする頭で聞いていた。
それにしても。
片桐って、そんなに有名だったの?
本人からそうだと匂わされたけど、まさかここまでだったとは。
「こらー、お前ら授業中だぞ!」
「だって!このクラスには目の保養になるような男子がいないんだもーん!」
「そうそう!」
担任の先生の授業だからなのか、みんな悪びれもなく失礼なことを口にする。