キミの心に届くまで


「これ、もし良かったら」



袋から取り出したサイズが大きめのお弁当箱を片桐に向かって差し出した。



「なんだよ、コレ」



片桐はあたしが差し出したお弁当を、うっとうしそうな顔で見つめる。


とても冷たい瞳をしていて思わず鼓動がドクッと鳴った。



「お弁当……食べるかなって思って作って来た」



「なに。お前も俺のこと狙ってるとか?」



今度は軽蔑の眼差しを向けて来る片桐から、なぜか目が離せない。



「はぁ?なわけないでしょ!タイプじゃないし、ありえないから」



「ふーん、あっそ」



『あっそ』ってなによ『あっそ』って!


悪意があるように聞こえるのはあたしだけ?



「食べないなら別にいいよ」



そう言って手を引っ込めようとすると、ぶっきらぼうにお弁当袋を奪われて。


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