キミの心に届くまで


「ごちそーさん」



食べ終わった後ボソッと呟いた片桐は、そのままアスファルトの上に寝転んだ。



話しかけるなというように背中を向けて来たので、それ以上なにも言わずに空を見上げる。



今日も雲ひとつない晴天で清々しいはずなのに、気分が晴れないのはなんでだろう。



すずと柏木君が仲良く一緒に過ごしているのかと思うと、どんどん気分は沈んでいった。



「チャイム鳴るけど」



「え?」



またぼんやりしてしまっていたあたしは、不意に聞こえた片桐の一言にハッとした。



チャイム……?


そう言われて、スカートのポケットに忍ばせたスマホで時間を確認する。



「わ、本当だ」



あと5分で昼休みが終わっちゃう!


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