キミの心に届くまで


「うーん、あ!可愛いカフェなら知ってるよ〜!」



「カフェ?どこどこ〜?」



「えーっとね〜」



「それより、カラオケの方が良くない?」



「いやいや、もっとムードのある場所の方が」



「うーん、迷っちゃうな〜」



誰とでもすぐに仲良くなってしまうところが、すずの良いところ。



それぞれの提案に目を輝かせながら、くるくると変わるすずの表情。


きっと、そんなところが好かれやすい要因なんだろう。



話に割って入るのもどうかと思い、あたしは無言でそっと立ち上がって教室を出ようとした。



「陽良!またね」



すると、それに気付いたすずが大きくあたしに向かって手を振ってくれた。


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