キミの心に届くまで
「ごめんね、大丈夫?」
ーードキン
スッと差し出された手と優しい声が耳に届いて、聞き覚えのあるそれに胸が高鳴る。
恐る恐る顔を上げると、そこには王子様スマイルをした柏木君が心配そうな顔をしながら腰を屈めて立っていた。
目を細めて笑う甘い笑顔が素敵だけど、心配してくれている顔もカッコ良くて思わず見惚れる。
サラサラなびく黒髪も、爽やかに澄んだその雰囲気も、目が離せなくなるくらい惹きつけられる。
「聞こえてる?」
なかなか答えずボーッとするあたしに、柏木君はキョトンとしながら言った。
「え?あ、は、はい……!」
あたしったら、見惚れてる場合じゃないじゃん。