キミの心に届くまで


「確か……すずの友達だよね?」



なんとか自力で立ち上がったあたしに、柏木君は優しく声をかけてくれる。


せっかく手を差し伸べてくれたのに、緊張していたせいもあってその手を取ることが出来なかった。



柏木君はスラッとしてて細身だけど、背が高いからそれを感じない。


顔が小さくてスタイルもバツグンだし、一見その辺のアイドルのようにも見える。



隣に並ぶっていう初めてのことに、ドキドキと緊張でいっぱいだった。



「あ、はい……」



思わず声が小さくなる。


そうだよね。


柏木君の中のあたしなんて、しょせんその程度の認識。


わかってるよ、すずが好きなんだもんね。


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