キミの心に届くまで


しょせんあたしは、誰の中でもその程度の存在。


いつもすずと一緒にいる人。


その程度。



「はは。なんで敬語なの?タメなんだし、普通に話してよ」



「あ……う、うん」



だって、なんだか緊張しちゃって。


どう反応すればいいのかわからない。



「すず、まだ教室にいた?」



はにかみながらすずの名前を口にする柏木君。


その目はとても優しくて、なぜだかわからないけど泣きそうになる。


その笑顔が、その姿が……。


すずしか見えていないんだということを物語っているようで。


すごく大事に想ってるんだってことが伝わって来て、羨ましくて仕方なかった。


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