キミの心に届くまで
「もうすぐ……来るんじゃないかな?」
涙を堪えながら、震える声でそう言うのが精いっぱいだった。
2人は付き合っているんだという現実をありありと突き付けられた気がして、さらにはキスまでしてたっていう言葉を思い出して余計に胸が締め付けられる。
その綺麗な唇で、すずの唇に触れたんだよね。
その優しい笑顔で、すずの顔を見つめながら笑うんでしょ?
そのしなやかに伸びる腕で、すずを抱き締めたの……?
耳元で優しく名前を呼んだりしたのかな。
そんなことを考えると苦しくて仕方なくて。
「じゃあ、あたしはこれで」
逃げるようにそこから立ち去った。