キミの心に届くまで
うまくいかない現実
それから2週間が経った。
9月も中旬を過ぎて、朝晩は大分涼しくなって過ごしやすくなった。
「陽良〜!今日の放課後空いてる?」
1時間目から体育だったので、HRが終わって更衣室へ向かっているところですずが声をかけて来た。
「今日?なんで?」
「あのね、潤君の友達が陽良を気に入ってるらしくて〜!ダブルデートしないかなぁって」
「え……?」
ダブル……デート?
柏木君と?
「今日はちょっと……」
「え〜!なんで?」
「用事が……あるから」
拗ねたように頬を膨らませるすずを、冷静さを装いながら見つめて淡々と返す。
「え〜?っていうか、本当に好きな人いないの〜?実はいるんじゃないの?だから、行きたくないとか?」
「…………」