キミの心に届くまで

うまくいかない現実



それから2週間が経った。


9月も中旬を過ぎて、朝晩は大分涼しくなって過ごしやすくなった。



「陽良〜!今日の放課後空いてる?」



1時間目から体育だったので、HRが終わって更衣室へ向かっているところですずが声をかけて来た。



「今日?なんで?」



「あのね、潤君の友達が陽良を気に入ってるらしくて〜!ダブルデートしないかなぁって」



「え……?」



ダブル……デート?


柏木君と?



「今日はちょっと……」



「え〜!なんで?」



「用事が……あるから」



拗ねたように頬を膨らませるすずを、冷静さを装いながら見つめて淡々と返す。



「え〜?っていうか、本当に好きな人いないの〜?実はいるんじゃないの?だから、行きたくないとか?」



「…………」



< 66 / 374 >

この作品をシェア

pagetop