キミの心に届くまで


幸せそうに笑うすずがうっとおしい。


お茶目に笑って頼みごとをして来るすずが、本当はずっと大嫌いだった。


みんなから好かれて、人気者なすずが本当はずっと大嫌いだったんだ。


好きだって思い込もうとしていただけ。



嫌い。


みんな嫌い。


大嫌い!



喉の奥がカーッと熱くなるのを感じながら、屋上へと続く階段を一気に駆け上がる。



もう、何もかもが嫌だった。



ーーギィィィィ



予想通り開いたドアに、恐る恐る足を進める。


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