キミの心に届くまで
小さな手のひら
それから約1週間。
季節はもうすっかり秋になって、昼間も肌寒くて半袖では出歩けなくなった。
あれからすずとぎこちなくなって、なんとなく避ける日が続いてしまっている。
嫉妬や妬ましさから大声を出してすずに当たってしまい、悪いのはあたしだって十分承知してるんだけど。
なかなか話しかけるタイミングがないのと、どんな顔で何を言えばいいのかわからないから何も出来ずにいる。
だけどそれだけじゃない。
「すずちゃん、うちらと一緒に行こうよ」
「え、あ……う、うん」
朝一の移動教室の時、隣の席の派手な女子達がすずに声をかけた。
遠慮がちなすずの声を聞きながら、教科書を持って立ち上がる。
最近はいつもこうで、これ見よがしに隣の女子はすずを仲間に入れたがった。
やっぱりすずは誰かに必要とされている。
一方で誰にも声をかけてもらえないあたしは、誰にも必要とされてないってひしひし感じて胸がキリッと痛んだ。