キミの心に届くまで


だけど、それを認めたくない。


誰かのせいにしていたい。



誰かのせいにすることで、壊れそうになる心を保っていないとやりきれない。



無我夢中で玄関まで走ると、靴に履き替えて学校を飛び出した。



「はぁはぁ」



どこでもいい。


どこでもいいから逃げ出したかった。


こんなに醜くて汚い自分がいることを認めたくない。



駅に着くと、カバンから財布を取り出して券売機に千円札を投入した。


路線図を見上げ、ふと目に付いた駅名にドクッと鼓動が鳴る。



『T大学付属病院前』



なぜだかわからないけど、無意識にその駅の値段のボタンを押した。



今の時間なら、翼ひとりのはずだよね……?


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