キミの心に届くまで


そのあとも居心地の悪さは変わらなくて、ドアの側から外を見るようにして立っていた。



目的の駅に着くと同時に、肩にかけたカバンの取っ手をギュッと握って駆け出すスタンバイをする。



ーープシュー



音を立てながら開いたドアの隙間から、再び思いっきり駆け出した。



階段を降りて改札を出ると、真っ青に晴れ渡った空が見えて胸に熱いものが込み上げる。



泣かない。


こんなところで、泣いちゃダメ。


だけど溢れる涙は止まらなくて。



溢れ落ちないように瞬きを繰り返して必死に乾かした。



そして、今度はゆっくり歩き出す。



たどり着いたのは有名な大学病院の正面入口。


ここに来るのはかなり久しぶりな気がする。


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