【完】一粒の雫がこぼれおちて。





普通ならここで、話を聞いた人間は離れていくと思う。



だって私は面倒臭い。


こんな家庭で生まれて、こんな子供に育って。



なのに大ちゃんは。



私を邪険として扱わず、私を〝私〟として見てくれた。



「お前はオレのものだ、しずく。」



それがとてつもなく、嬉しくて。


とてつもなく、温かかった。



例え今、大ちゃんが私の父親と同じことをしていようとも。



過去の私は、大ちゃんに救われたんだ。



今までずっと、大ちゃんと一緒。


8年間、本当にずっと一緒にいた。



母親が離婚したときも、

私が家出をしたときも、


…………私が、自殺しようとしたときも。





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