【完】一粒の雫がこぼれおちて。
体が揺れてる気がする。
何だか、暖かい。
心地好くて、ずっとこのままでいたい。
ふと目を薄く開いたとき。
「今度、倉橋…………僕のものに手を出したら、容赦しないって。」
目の前で、潤平くんにそう告げる和泉くんの姿があった。
どうして。
どうして、和泉くん。
どうしてここにいるの。
私は、大ちゃんのものだよ。
言いたいことは沢山あるのに、どの言葉も声にはならなかった。
ただただ、この瞬間だけは。
和泉くんが〝僕のもの〟って言ってくれた、今だけ。
この大きな背中に、縋り付いていたかった。
……生温い何かが、私の頬を一筋、伝っていった。