【完】一粒の雫がこぼれおちて。
なんだなんだと、周りは面白そうに僕たちを見ていく。
手に小さな震えを感じて。
隣を見れば、しずくが目をつぶって小刻みに震えていた。
何がしずくをそんなにも怖がらせといるのか、明確なことは分からないけど。
……腹が立つ。
目の前に立って道の邪魔をする大河内も。
それを楽しそうに笑ってみていくギャラリーも。
「あのさ、いい加減に……。」
苛立ちと言葉をそこまで続けたとき。
「美衣奈!!」
ギャラリーの中から伸びた腕が、大河内を抱きしめた。
「何してんだよっ、美衣奈! まだ兄さんに何も言われてないだろ!」
「っ、だって……だって、大地くんが……!!」
大河内を抱きしめたのは松江。
弟の潤平の方。