【完】一粒の雫がこぼれおちて。
今まで黙っていたしずくが、手に力を込めた。
「和泉くん……私、ここにいていいのかな……。」
「は……?」
今度は、僕の声が震えた。
「私……、大ちゃんを1人にさせられない。」
偽りの無い力強さを持った、熱い眼差し。
僕に向けられたその目に、迷いは無かった。
「やっぱり私、大ちゃんが好き。例え、暴力を振るわれたとしても。」
それは遠回しに、僕を遠ざけた言葉だった。
メニュー