【完】一粒の雫がこぼれおちて。





不思議なことに、従兄妹って聞いた途端モヤモヤが晴れたのが分かった。


それに何だか、和泉くんが〝蒼空くん〟って呼ばれてる理由が分かって、ホッとする……。



「しずくちゃんは、蒼空くんのことをどこまで知ってる?」



隣に腰を下ろした里沙ちゃんが、いつもと変わらない笑顔で私に言った。



「どこまで、って……。……何も知らないよ。」



和泉くんが私の家に来て、大ちゃんから私を連れ出した理由も。


私の過去を知って、もういない両親にあんなにも怒ってくれた理由も。



今でも暖かいけど……。


昔の暖かい和泉くんから、今の和泉くんに変わってしまった理由も……。



私は、何も知らない。





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