【完】一粒の雫がこぼれおちて。
4年前、私は中学1年生だった。
大ちゃんは高校1年生。
このときの私はまだ両親と暮らしていて、大ちゃんとも普通の〝恋人〟だった。
ませていたとは思うけど。
大ちゃんと手を繋いで2人で出掛けたり。
情事はもちろん無かったけど、松江家に遊びに行ったり。
……家にいない間は、幸せだった。
学校では潤平くんが常に傍にいてくれた。
大河内さんはその時から私が嫌いだったようだけど。
寂しくは、なかった。
私の家の事情を知ってる大ちゃんは、私を〝寂しい〟と思わせないほどの愛を、私にくれたから。
寂しいとは思わなかった。
だけど、苦しかった。
「クソ腹立つ! 何だよ、上司だからって威張りやがって!!」