【完】一粒の雫がこぼれおちて。
それから暫くして、私は家を出た。
お父さんの暴力がさらに酷くなって、無事でいられないと感じたから。
大ちゃんからの突然の暴力が始まったは、その1年後。
「……そんなことがあったんだ。」
「うん……。」
私が長い話を話し終えれば、里沙ちゃんは少し悲しそうに顔を歪めた。
きっと優しい里沙ちゃんのことだから。
私が虐待されてたことやDVを受けてることを知って、同じように胸を痛めてくれてるんだと思う。
「ありがとう、里沙ちゃん……。」
里沙ちゃんは本当、優しい。
「ううん、あたしは何もしてないよ。蒼空くんに、しずくちゃんを見ててと言われただけ。」
「和泉くんに……?」