【完】一粒の雫がこぼれおちて。
2人に声を掛けたのは、殆ど無意識だった。
あ、誰かいると思って。
その誰かが分かった途端、名前を口にしていた。
「……まだ泣いてるわけ?」
「うっ、うるさい!」
涙をボロボロと零す大河内を見れば、コイツもちゃんと女だったんだなって気づく。
いつも馬鹿みたいに高いプライドを持ち合わせてるくせに。
そんな華奢な体で、誰かを想って誰かのために涙を流す。
ただ意地の悪いだけの人間じゃない。
恋に真っ直ぐ、一途な女の子だった。
「……美衣奈。」
そして大河内を慰めようと、大河内の頭を撫でる松江も。
れっきとした、男。
守りたい、助けたい。
そんな想いが、ヒシヒシと伝わって来た。