【完】一粒の雫がこぼれおちて。
この先の話を聞けば、きっともう後戻りはできない。
松江大地のことを絶対に共感できるとは言えないけど。
気持ちぐらいは、分かってやれるのかもしれない。
それに。
話を全て聞いたあと、僕は。
しずくを手放さないと言える……?
「和泉。これ以上の話を聞きたいのならば、それなりの覚悟が必要だ。お前に……その覚悟はあるか?」
覚悟?
覚悟、なんて……。
『蒼空っ、逃げて……っ!!』
……だけど。
何もできないよりは、全然マシだ。
「いいよ、話しなよ。……どんな話でも、受け止めてみせるから。」
しずくも、松江大地も。
もう誰も、僕の前からいなくなるなんてことは、許さない。