【完】一粒の雫がこぼれおちて。
「ねぇ、大地。貴方に弟か妹が出来るのよ、嬉しい?」
そんな日々が何日、何ヶ月過ぎ去って。
やっと新しい両親と家にも慣れてきた頃。
「弟か、妹……?」
「そうよ、どっちがいい?」
まさかの、子供が発覚。
正真正銘、血の繋がった2人の子供が。
「……オレ、どっちでもいいよ! どっちとも、仲良くするから!」
怖かった。
言葉に表せないほどの恐怖と不安。
〝捨てられる〟
直感的に感じた。
血筋の繋がった本当の子がいるのなら、オレなんて必要無い。
オレは所詮、潤の代わりで。
〝松江大地〟はこの家にいない。
子供が生まれてくるその日が、怖くて仕方なかった。