【完】一粒の雫がこぼれおちて。
意味を理解しないで頷いた、目の前の女の子。
倉橋しずく。
8年前、オレが告白した相手で。
今、オレの彼女として傍にいる。
オレの、宝物。
オレの、妹。
意味わかんねえだろ。
ふざけてるだろ。
地球は広いんじゃねえのか?
じゃあなんで、生き別れたはずの妹と再会してんだよ。
お前が妹じゃなきゃ、オレの妹じゃなきゃ。
オレは、心からお前を愛せたのに。
「大ちゃん。」
いつしか、そうオレに笑うようになってくれたしずくが、憎かった。
オレの気持ちも知らずに。
オレに縋るしずくが憎くて、憎くて、とても……。
愛おしかった。