【完】一粒の雫がこぼれおちて。
僕のテリトリーにズカズカと土足で入り込んで来る当の倉橋は、僕と少し離れたところの日当、日だまりにいる。
そう、さっきからずっと叫んでいるのだ、アイツは。
それも、僕が無視すればするほど。
「和泉くんもこっちおいでよー! きもちーよー?」
「生憎だけど、僕は日影の方が好きでね。太陽に焼かれるなんて、まっぴらごめんだ。」
それ以上に、これ以上おまえに近付きたくない。
なんてことを思いながらも、さすがにそれは口にせず。
僕は大好きなブルーベリーパンを口に頬張る。
「せっかく今日は良い天気で、ひなたぼっこ日和なのにー。」
そんなもの、死んでもしたくない。
むしろそれをすることで、僕の体は干からびてしまいそうだ。