【完】一粒の雫がこぼれおちて。
里沙は僕の隣に腰を下ろして。
「……犯人ね、捕まったって。」
犯人?
……そんなもの、捕まえたってもう遅い。
2人は、いなくなってしまったというのに……。
「蒼空くん。」
「……。」
「そらくん。」
「……何だよ。」
「悲しいね……。」
里沙も泣いた。
僕の方が何倍、何十倍も悲しいのに。
里沙と2人、同じように涙を流し続けた。
「……あたしは、ずっと蒼空くんの傍にいるから。」
「ずっと……?」
「うん、ずっと……。でも。」
「蒼空くんを愛してくれるのは、あたしじゃないから。」
「絶対、どこかにいるから。蒼空くんを心から愛してくれる人。」
「だから……蒼空くんも、人を愛すこと、忘れないで。」