【完】一粒の雫がこぼれおちて。
ペコッと頭を下げたしずく。
「そ、彼女。いじめないでね。」
この病室には今日初めて来た。
だから白鳥さんと出会ったのも今日。
今日の昼だけで、白鳥さんがどんな性格なのかは一発で理解した。
白鳥さんにも子供は2人いるようだけど、仕事が忙しくて中々会えないから。
病院にやって来た女の子に抱き着くのが、日課?……らしい。
「へえ!! へぇ! へぇ! 名前は!?」
「し、しずくです……。」
「しずくちゃん可愛い!!」
言った途端だ。
白鳥さんはしずくに抱き着いていて、しずくは目を丸くして驚いてる。
……いじめないでって言ったのに。
なんて思ったけど、この人にそんな言葉は通じないことを、あとから思い出した。